5G基地局世界総市場規模
5G基地局とは、無線アクセスネットワーク(RAN)の中核として、端末とネットワーク間の無線通信を成立させる設備・装置群である。アンテナ/無線部(RU)、基地帯域処理(DU)、制御(CU)などの機能要素を統合し、周波数帯・帯域幅・セル設計に応じて電波を送受信する。4G世代が「広域カバレッジ」を主軸にしたのに対し、5G基地局は高速・低遅延・多接続の要件を同時に満たすため、Massive MIMO等の高度な無線技術、ソフトウェア制御、ネットワークスライシングやエッジ連携の前提条件を内包する。結果として基地局は、単なる通信装置ではなく、産業DX、公共安全、都市サービスの上に乗る“デジタル地盤”を形成する基盤である。
5G基地局の製品画像

5G基地局世界総市場規模

上記の図表/データは、QYResearchの最新レポート「2026~2032年のグローバル5G基地局市場調査レポート」から引用されている。
投資局面の転換が映す市場の輪郭
QYResearchの「5G基地局―グローバル市場シェアとランキング、全体の売上と需要予測、2026~2032」によれば、2026年から2032年の予測期間中のCAGRは-6.8%であり、2032年までにグローバル5G基地局市場規模は16647百万米ドルに達すると予測されている。この数字が示す市場特性は、導入拡大のフェーズから、配置最適・更新・高度化へ重心が移る局面にある点である。成長率がマイナスであることは、需要消失というより、初期の大規模建設が一巡し、調達の焦点が「数の増加」から「性能の作り込み」へ移る構図と整合する。市場規模がなお大きく維持される見通しは、基地局が社会インフラの固定資産として定着し、交換・改修・機能追加が継続的に発生することを意味する。すなわち本市場は、拡張期の量的成長ではなく、成熟期の質的更新で価値が形成される市場である。
伸びを生むのは「最適化需要」の増幅
成長ドライバーの本質は、5Gが「敷設」から「収益化と効率化」に移ることである。通信事業者は設備投資の妥当性をより厳しく問われ、同じ面積を覆うだけでは価値になりにくい。そこで、トラフィックの偏在に合わせたセル設計、上り通信や低遅延への最適化、端末特性に応じた接続制御が重要となり、基地局側のソフトウェア機能と運用設計が競争力になる。また、エネルギーコストとカーボン制約が強まるほど、送信電力・スリープ制御・無線リソース配分の最適化が不可欠となり、基地局は「高性能装置」から「高効率運用の道具」へ役割が変わる。加えて、産業用途や公共用途では、可用性・冗長・セキュリティ要求が高く、基地局選定は機能よりも運用リスク低減に収斂する。結果として市場は、数量よりも最適化価値で再編される。
世界の5G基地局市場におけるトップ10企業のランキングと市場シェア(2025年の調査データに基づく;最新のデータは、当社の最新調査データに基づいている)

上記の図表/データは、QYResearchの最新レポート「2026~2032年のグローバル5G基地局市場調査レポート」から引用されている。ランキングは2025年のデータに基づいている。現在の最新データは、当社の最新調査データに基づいている。
上位集中が示す集約構造
QYResearchのトップ企業研究センターによれば、5G基地局の主要製造業者にはHuawei、Ericsson、ZTE、Nokia、Samsung、CICT Mobile Communication、Certusnet Corporation、Comba Telecom、H3C、Ruijie Networksなどが含まれている。2025年、世界のトップ5企業は売上の観点から約93.0%の市場シェアを持ち、トップ10企業は約95.0%の市場シェアを持っていた。この高い集中度は、基地局が通信網の中枢であり、規格対応、相互接続性、長期保守、運用支援まで含めた総合力が参入条件になることを示す。上位企業に需要が集約するのは、装置性能の差だけでなく、ネットワーク全体での実装確度と供給継続性が評価されるためである。一方で、トップ10がほぼ市場を覆う構図は、周辺プレイヤーが入り込む余地が「装置そのもの」より、特定用途・特定構成・周辺機器や運用領域へ移りやすいことも示唆する。
次の競争軸はアーキテクチャと運用知能
今後の5G基地局は、ハードウェア差別化から、アーキテクチャ設計と運用知能の競争へ移る方向にある。CU/DU/RU分離や仮想化を前提に、調達と運用の柔軟性を高める構成が重視され、基地局は単体装置ではなく「運用可能なシステム部品」として評価される。また、AIを用いた省電力制御、障害予兆、パラメータ自動最適化が進み、現場運用は熟練依存から自律制御へ比重が移る。さらに、5G-Advancedを見据えた上り強化・低遅延・端末多様化に対応するには、無線機能の追加よりも、ソフトウェア更新と運用設計で価値を積み増すモデルが中心となる。最終的に基地局は、設置資産ではなく、継続的に性能を作り替える“ネットワークの実行基盤”へ収斂していくのである。
最新動向
2025 年 12 月 30 日—日本:Ericssonが「2025 Year in Review」記事で、SoftBankとの4G/5Gネットワーク機器パートナーシップ拡大を記載し、SA readinessの加速とAIによる効率化に言及した。
2025 年 9 月 30 日—米国:FCCが「ワイヤレスインフラの改修許認可を迅速化する」ことを目的とする提案文書を公表し、既存タワーや無線基地局の変更手続きの迅速化を論点として提示した。
2025 年 3 月 19 日—韓国:Samsungの2025年3Q中間報告書において、AIベースの5G基地局およびvRAN基盤の省エネ技術(RedCap関連)の検証状況が記載された。
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